大企業病につける薬はあるのか?

組織論でよく出てくる、「規模の経済」という言葉。
製造業において「累積生産量が増えていくにつれて平均費用が逓減していく」という現象ですね。
わかりやすく言うと、たくさん作ればそれだけ安くできるってことです。
たとえば、自動車1台を作るのと自動車100台を作るので
まったく同じ生産ラインを利用したとすると、自動車一台あたりにかかる生産ラインの
設備コストは当然100台作ったほうが安くつくわけです。

さて、これをホワイトカラーに当てはめてみるとどうなるでしょう?

僕の持論ですが、ホワイトカラーの世界では、規模の経済が通用するのは
せいぜい社員数数百名規模かと思っています。

組織を作るときには、まず部下は一人の上司からのみの命令で動くようにする必要があります。
(命令統一性の原則)
この原理に基づいて単純に社長⇒役員⇒事業部長⇒マネージャー・・・という風に
ヒエラルキーを形成していくと、下記の仮定をおいた場合に、
全社で必要な人数は
1+5+5×2+5×2×5+5+5×3+5×3×10
=1+5+10+50+5+15+150
=236名
——————-
(仮定)
 ・一人の上司が最大10名の部下を見ることができる(10名が上限)
 ・構成:社長1名、スタッフ役員5名(経理、人事、法務、経営企画、広報宣伝)、
      事業役員5名(5事業とした場合)
      スタッフ役員の配下にそれぞれマネージャー2名、マネージャー配下に担当5名
      各事業部に部長5名、部長配下にマネージャー3名、マネージャー配下に担当10名
——————-

まぁそんなに計算どおりに行くわけはないですが、
せいぜいこのぐらいが妥当な線ではないでしょうか。

ではさらにこれ以上事業を広げるとどうなるか?
一人の上司が見ることのできる部下の人数には限りがあります(ここでは10名と仮定)ので
それ以上の面倒を見る必要があれば、階層構造が深くなっていきます。
権限委譲を行ってどんどん下へ下へと組織が伸びていきます。

組織階層が深くなればなるほど、「意思決定への遅れ」が生じます。
階層が深くなることは、意思決定の遅れだけではなく「丸投げ現象」も生みます。
よくある、「しってるけどやったことない」状態ですね。
また、人が増えればそれだけ社内利害調整も多く発生し、それだけコンフリクトが生じます。

組織論だけを論じるのであれば、当然階層が深くなることでトップは意思決定に集中できる
というメリットもありますが、忘れやすいのが人間というもので
上層部に行けば行くほど、現場で仕事をしていたことを忘れて口先だけで解決しようとする。

つまり、これがいわゆるホワイトカラーの大企業病ではないかと。
人が増えれば増えるほど、コストばかりが増大して売上は上がらない状態。
規模の不経済が生じています。

経済学では、企業で生じている費用は”可変である”という前提で論が進みます。
現実の世界ではそんなことはないので、累積生産量が上がれば上がるほど
コストが下がるという現象が起きていなければおかしいんです。本当なら。。
(ホワイトカラーであっても、生み出している付加価値は累積生産量と考えておく)

でも実際に起きている現象は、机上の空論である経済学の教科書に書いてあるような
規模の不経済現象。。

高度成長期に終身雇用をうたい文句に成長をしてきたニッポン大企業は
規模の不経済が生じていようとも、従業員に手をかけることなくこの状況を乗り切らなければ
ならない使命を背負っているわけです。

個人的には、切ってしまうぐらいのドラスティックさがほしいとは思うのですが。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です