本を読むときの留意点

2015年も始まり、一年の目標や計画を立てた方も多いのではないでしょうか。

中には読書を目標にあげている人もいらっしゃることでしょう。

 どのような読書の目標を立てていますか?

ここでは一旦ビジネス書に絞って話をしてみたいと思います。
ビジネス書を読む際にポイントとなるのは、「読書で何を得たいか?」です。
小説であれば、「ワクワクした」「感動した」などの情緒的な感情で十分でしょうが、ビジネス書は一般的に「読むことにより何かしら自身のスキルアップに繋がること」が目的になります。

これは私個人の考えですが、ビジネス書は読んだだけではスキルアップにはつながりません。人間は忘れる生き物ですから、よほど頭がいいか、あるいはよほど内容が読者にとって衝撃的でない限り、読んだ内容も普通は2,3日したら忘れてしまうのです。
このことをわかっておらず、ただただ本の冊数を伸ばすことや、カテゴリを増やすことを目標にしてる人、結構います。

ではどうやれば読書の内容がスキルアップに繋がるか?

それはもう書いてある内容を読んだすぐ後から実践してしまうこと、これに尽きます。
すぐに実践が難しいような書籍であれば、本の内容を自分自身で他人に説明できるようになるまで読み込んで、自身の地肉として初めて、「スキルアップのスタートラインに立った」といえます。

私は、本は読みながらevernoteにポイントとなる部分や解釈をどんどん書き出すようにしています。

読書を目標にしている方は、一度見直してみてはいかがでしょうか。

【書評】経営戦略全史

経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)
経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ) 三谷 宏治

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2013-04-27
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ボストンコンサルティング、アクセンチュア、INSEADのMBAと、経営戦略のど真ん中の道を歩いてこられた著者による渾身の一冊です。

幅広い読者を想定されているだけあって、大変理解しやすいように書かれています。
たとえば、科学的課業研究を最初に行い、経営学の租ともいわれるテイラーと人間関係論の始祖であるメイヨーが対談したと仮定した場合の議論の内容など、大変リアルに描かれています。

科学的管理から始まり、人間関係論が科学的管理に異を唱え、状況に合わせて双方を合わせて使うコンフィギュレーション経営戦略に発展し、イノベーション論が生まれ・・・そして現在はリーンスタートアップやデザイン戦略、アダプティブ戦略など、「やってみなくちゃわからない、やって間違ったらすぐ修正してまたやり直す、この繰り返し」という戦略理論が適合する世の中になってきています。

本書では触れられていませんが、その背景には、日本の製造業の急激な成長、そしてIT技術の発展があり、それらに伴う消費者の行動原理の変容があるのだと思います。

1冊で経営戦略100年超の歴史を網羅できる大変良い書籍です。
読み物としても優れているし、辞書としても使えます。

特に企業のマネジメントに携わる人や経営コンサルティングに携わる人は必読の書でしょう。

【書評】ブラックスワンの経営学

ブラックスワンの経営学 通説をくつがえした世界最優秀ケーススタディ
ブラックスワンの経営学 通説をくつがえした世界最優秀ケーススタディ 井上達彦

日経BP社 2014-07-19
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前職NECにいた際に研修でお世話になった、早稲田商学部の井上龍彦先生の著書です。
様々な企業の事例を研究する際のお作法、「ありえないもの=ブラック・スワン」の見つけ方とそれに遭遇した時の分析方法が丁寧に書いてあります。
概要としては以下の様な感じ(目次とは無関係です)
・仮説を明確にして事象を観察し、反復実験を行って情報を収集するべし
・分析を行う際はインタビューなど現場での情報収集を大切にして解釈を行うべし
・仮説は、それが外れた時に次に有意義な探索と考察ができるものが望ましい
・仮説の精度を高めるためには必要条件と十分条件の往復が必要
・事例研究では、統計的な外れ値を捨てずにブラック・スワンとして注目する
これから私が得られた示唆としては、以下の様なものです。
仕事や診断士活動の中で触れる様々な事例について以下を問う。
・その出来事の何に驚きを覚えたのか
・なぜ驚きを覚えたのか
・通常(自分が通常と思い込んでいるもの)とは何がどう違っているのか
・通常と違っていることにより何が引き起こされるのか
・その特別さはなぜ実現したのか
・その特別さは、自分の業界、組織運営、仕事にとってどのような意味を持つのか
この問いによって、事例を深く読み、抽象化して新しい洞察を得ることが出来る。
新しい洞察を得るためには、「仮説」「基準」「外れ値」にこだわり、それらの発生した背景に目を向ける事が大事なんですね。
そのために必要な思考法は、やはりクリティカル・シンキングでしょうね。